METAL BUILD フリーダムガンダム創造の秘密！重田氏＆坂本氏インタビュー[ZT]
2012年3月24日に発売となるMETAL BUILD フリーダムガンダム。その製作のウラを重田氏、坂本氏に聞いたインタビュー第2回！（前回記事はこちら）http://ga.sbcr.jp/minterview/019495/images/01.jpg
――重田さんのイメージを立体物として昇華させるために、坂本さんがアクションをさせたとき、ポージングさせたときで、シルエットをいかに繋げるか、だいぶ苦労されたとお聞きしていますが？
坂本：肩アーマーなどは、腕を突き出したときに、一緒に肩アーマーが動いて、その天面や上面が真裏にいくのを避けるギミックは考えましたね。
METAL BUILDでは、肩の前方が開閉式になっているので、肩アーマーを動かさなくても、腕を前に伸ばせます。
重田さんのイラストを再現する際、通常の立体物は腕を上げたとき、肩の上面が裏や下を向いてしまうんです。これはやはりシルエットが崩れてしまうので、肩アーマーのシルエットを維持して、どれだけアクションをさせられるか、苦肉の策（笑）……と言うか、新しいチャレンジでした。
――新しいチャレンジですよね（笑）。
重田：アニメーションでも、例えば敵を持ちあげたりするときに、肩アーマーが見事にひっくり返った絵を描いてくれる人がいて（笑）。
こういったシチュエーションでの設定はないので、解釈の問題もありますが、自分はどうしてもあれがやっぱりカッコいいとは思えない。
アクションすることに対して、装甲の装甲たるところがなくなってしまうことを考えると、なるべく腕の運動に連動しなくてもよくて、フローティングアーマーと言うか、つまり肩の上に固定されてハマっているものでなくてもいい気がするんです。シルエットで考えても、バンザイしたとき（肩は）逆シルエットになってしまいますからね。
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■肩アーマーが前部が開く構造で、腕を上げたポーズでも肩のシルエットが崩れない ――肩だけではなく、腰のフロントアーマーの部分の開閉も、開脚時に違和感が出ないように……とお聞きしています。
坂本：片足が前に出たとき、隙間がなるべくなくなるシルエットを検討した結果、ブロック状にしたスカートだけが動かすことで、隙間感を減らしています。
元からブロック状のデザインだったので、分けやすさもありました（笑）。
重田：作画の際でも、フロントスカートはただ腰前に装着されていればよいわけではなく、股を広げればある程度脚のほうに追従して欲しいと思っていて、そう描いてしまうんですよ。
そうしないと例えば、皆さんが、いわゆる“SEEDポーズ”と言ってくれるポージングをしたとき、いくら脚や股を広げても、フロントスカートが垂直に下がっていると、股が広がって左右に伸びた脚のシルエットの勢いをスポイルして、本来のイメージと変わって見えてしまうんですよね。
また、作画のとき、せっかく人型をしているMSが人のアクションをするわけですから、人のシルエットがわかりやすいような絵を描かなければあまり意味がないと思っているところがあります。
それもあって、立体化の際、物理的な構造でアーマーの位置が干渉して、人のシルエットと異なって見えてしまうようなことは、なるべくないようにお願いしています。
坂本：ユーザーさんも、人型だから人並みに動かしたいのはありますよね。
そういうことを気にしていくと、立体物も関節の位置、腿や脛の長さを人に寄せていけば、動かしたときに人間が動いている感が出しやすい。
だから、先ほど膝を曲げた時にどうやったらキレイに膝を曲げているように見えるかなど、いつも気を付けていますね。
重田：先ほどのシルエットの話ではないですが、やはり膝を曲げたら、シルエットとして膝小僧の先のとんがった部分が欲しいなって思うと、「そういう風になるようになりませんかね」といつもいつも無茶なお願いをして（笑）。
AT：フリーダムは膝が曲がると、膝のガード部分が連動して動きますが、それは先が尖って見えるような位置にくるように曲がるためのギミックにもなっています。
重田：逆にアニメーションを描くときは、膝や肘の関節ブロックの角をわざと出して、その部分（膝、肘）に見えるように描いています。
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■フロントスカートは脚の動きに追従させるため外に広げることができる。膝のガードは関節と連動することで、足を曲げても尖ったシルエットを保てる――カラーリングも、かなりこだわられたとお聞きしていますが、その辺りについてお聞かせください。
重田：立体の開発現場では、アニメーションの映像やムック本、サンライズの資料からカラーリングを決めていると思うんですね。ただ、アニメーションでは映像上、モニターで映える色を用意しているのであって、例えば実際に立体物に塗ったときの見映えのする色とは別モノのはずなのに、アニメーションにそっくりな色を選んできましたみたいなこと言われちゃうと、逆にこっちがビックリすることがあって（笑）。
極端に言ってしまえば、色味さえ合っていればよくて、もっと違う色の表現方法があるはずなんですよね。
とくに今回は塗装ありきな「METAL BUILD」だったので、“白だから白”、“青だから青”ではなく、素材感も含めて、「もし、フリーダムが実在するのであれば」と考え方のアプローチを変えてもらいました。
例えば白でも、塗装の白なのか、素材の白なのか、また、ベタ塗りなのか、クリアなのか、パールなのか、と「色々な考え方があるのではないか」と言う話はしました。
ファーストガンダムの頃から、主人公機であるガンダムのベース色は白で、それは自軍の大将機、フラッグシップなのだからこそ目立つ必要があると考えると、宇宙で映える白、たぶんパールとかメタリック、つまり宇宙だったら太陽光を受けてまばゆく光って見えるんじゃないのかな、と。だから「輝いて見えるような塗装ってできませんかね」っていう話はしたと思います。
「 白と同じくらいの面積を占める青の部分も、ベタな色ではなく、メタリック、質感のあるような青など、カラーリングに関しては、これくらいは解釈してもらっても、全然かまわないと思うんですよ。
結果、こちらの予想以上にゴージャスなカラーリングになりました（笑）。
それと“差し色”となる赤にもこだわりました。これが濁った色ではイメージと違いますし、ただあまり明るすぎて朱色になられても困る。色が暗すぎて血の色に見えると、
“フリーダム（キラ・ヤマト）”というキャラクターが違って見えてしまうので、例えば女性のルージュではないですが、ハッと気を惹くような赤がところどころに差してあるといいかな、と。
この赤が差してあるのは、監督の福田己津央さんの意向があって、機体の中に赤があれば、画面の中で動いているときにフリーダムだと、わかりやすいんだそうです。胸のラインの赤もそうですが、 差し色としての赤が全体の中でポイントになるといいかなっていうことはお願いしました。
AT：今回、赤がいちばん苦労しましたね。３テイクぐらいしているので……。
――赤は１行程で塗っているんですか？
AT：２行程です。最終的には華やかな赤を塗った上に、青色のパールをかけて、再現しています。
赤のままだと逆に浮きすぎていたんです。それを抑えて、周りの色をなじませるようにと、彩色を担当したリボルブの広瀬裕之さんに依頼したところ、上がってきたのが現在のバージョンでした。
重田：フリーダムは、“リアルな兵器としてのMS”というよりは、キラ・ヤマトという王子様が乗る白馬なんですよ（笑）。
少なくともSEEDという作品は、そういう側面を持っていると思っているので、どんなにリアルなMSであったとしても、そのイメージは壊したくなかったんです。
もちろん男の子もカッコいいと思ってもらいつつ、女の子もやっぱり「これはキラがいかにも乗っている！」と見えてほしかったのですしね。
AT：そういう面では、ちょっとリアルとは、また違いますかね。
重田：SEEDの世界観でリアルに見えればいいんです（笑）。
次回はHDリマスター版SEEDの舞台裏も！
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