酒人を飲む
<酒は百薬の長>というが、同時に<酒は百毒の長>なることわざがある。<一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む>ともいわれてきた。凡人には、酒の飲み方は難しい。▼首都圏の大学で数日前、男子の新入生(二十)が急死した。居酒屋で開かれたオリエンテーリング部のコンパに参加し、二次会の会場で昏睡状態で横になっているのに周囲が気づいた。救急車で病院に運ばれ、死亡が確認された。イッキ飲みまではしなかっただが、コンパでは泥酔者が何人も出たらしい。大学当局は各サークルの責任者らを集め、「コミュニケーションの手段を酒の力に頼りすぎるな」と注意したという。▼アルコールは脳の働きを麻痺させる。呼吸を司る部分まで麻痺すると、死に至ることがある。ゆっくり飲んだ場合は、量を過ごすと気持ちが悪くなって、それ以上は飲めない。ところが急激に過度に飲むと、自己防衛の機能が作動する前に一気に危険な状態に陥る。昨年は全国で少なくとも五人の新入生、新入社員が、急性アルコール中毒で命を落とした。▼歓迎といっては酒、歓送でも酒、めでたければ酒、「残念」ならなおさら酒。何かというと酒、が日本の組織の風習だ。▼「俺の盃が受けられないのか」と目の据わった輩が酒を強要する。酒の上で乱行、失敗を反省するときも、酒に頼る。つまり、コミュニケーションの手段はもっぱら酒。若者も、学生時代にすでに、その風習に染め上げられる。▼といいながら、実は私も、酒の誘惑にはからきし弱い。自戒を込めて以上の文を書き、自戒を込めて「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」(1961年公布)の第2条を読み返す。▼<すべての国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。>1996年4月26日 天声人語による
かつて読んだ文章ね、これ、昨日のやつも読んだことあったけれど、っていうか、「天声人語」って知り合いの日本人先生が授業で使ってるやつだよね、聞いたことあったから間違いないと思う
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