CS予選も半分を越え、残る会場は「福岡」「東京」「大阪」となってきました、これまでCS予選についてはレポートで結果をご報告してきましたが、今回はその結果からどんなデッキが勝ち抜いたかではなく、どうしてこのデッキが選択されたかを考えてみたいと思います。 |
■「メタゲーム」 |
この言葉を聴きなれない方も多いと思いますが、この「メタゲーム」という言葉はカードゲームの大会で勝ち抜くには重要な要素なのです。
例えば2006年GTで優勝した「黒茶輝き」。確かに強力なデッキでしたが、前線のフォトグラフの登場以降、「ガンダム試作3号機(U-270)」につぐ、除去が難しい「ガンダム試作1号機フルバーニアン(U-322)」や、「ディアナ帰還(O-62)」での回復がそのまま打点となって帰ってくる「ガンダム(ラストシューティング)(U-321)」の存在と、それらを活用した、「青単色デッキ」の登場により、かなり不利な状況になってしまいました。
そのため強力で実績のあるデッキにも関わらず、予選突破をするのはかなり難しかったようです。
このように、強力なデッキであったとしても新カードの登場やそれに対するサイドボードの登場で大きな大会では勝ち抜けなくなることも多いのです。
例えば、強力で有名なデッキがあったとして、大会に勝つためにはどうすればいいかを考えた場合、その強力なデッキを使うか、そのデッキに負けないデッキやサイドボードを用意するという選択になるということです。
大会で強力デッキを使用したプレイヤーが100人いたら、そのデッキに負けないデッキを持っていくことができれば、その100人には勝てると言うわけです。
そういった流行のデッキに対して、どういうデッキを選び、どう対処するかというのが「メタゲーム」というものです。 |
● 青 | 2006年GT以降強力デッキとして「青単色デッキ」の存在が大きくメタゲームの中心となりました。
特に前線のフォトグラフ解禁の札幌大会以降は、「ガンダム試作1号機フルバーニアン(U-322)」「ガンダム(ラストシューティング)(U-321)」の存在もあり、CS予選でも最大の結果を残すのではないかと考えられていました。
しかし、実際には札幌大会以降なかなか予選突破者を生み出すことが出来ない状態が続いています。
理由としては強いと認識されているがゆえに、「メタゲーム」の筆頭に当てられ、サイドボードに対策カードを詰まれたり、メインデッキの時点でこのデッキに耐性のあるデッキが好まれた結果といえるでしょう。
今後このタイプの「青単色デッキ」は、対策カードで生まれた弱点をカバーできる構築をしないと予選を勝ち抜くのはつらいかもしれませんし、実際大会での使用率も下がってきているように思われます。
また、名古屋大会では最近あまり見かけられなかった、「青中速デッキ」を見受けるようになりました。 「Zガンダム3号機(U-302)」を投入することで今の中速ビートダウン環境に対応している形のようです。
※中速ビートダウン… | 現環境では「緑中速デッキ」や「赤中速デッキ」に代表されるデッキの総称。
4国力ユニットを「ブリッツクリーク」などで展開力を上げ、その物量で大ダメージを与えるデッキ。 |
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● 緑 | これまでのCS予選で数多くの予選通過者を輩出している「緑中速デッキ」。
当然、多くのプレイヤーがこのデッキを選択し、出場しているので、今では「青単色デッキ」に替わり「メタゲーム」の筆頭と言えます。
では「メタゲーム」の筆頭に上がっているにも関わらず、青と違い結果を残しているのはなぜでしょうか?
まず、「緑中速」がなぜここまで使われているかを考えてみましょう。
1. | 「ブリッツクリーク(C-118)」、「戦いの駆け引き(C-70)」による展開力 | 2. | 「シーマ・ガラハウ(CH-151)」や、
「ゲルググM(シーマ・ガラハウ機)(U-254)」などの除去耐性 | 3. | 「制圧作戦」や「ギレン・ザビ」での国力アドバンテージ |
これらの要素がうまくまとまっていることが、緑中速が他のデッキに比べて優れているといえる点です。ですが、実はこれだけでは強いデッキで尚且つ使用率が多いということにはなりますが、必ずしも大会で結果を出すことを説明するにはつながりません。
ここに「緑中速」の4番目の利点があります。
これが「緑中速」に隠された最大の特徴でもあります。
以下に現状使われる緑が持つ対策カードを何点か上げて見ましょう。
CH-163 | クルスト・モーゼス | 1枚制限を持つユニットを多く抱えた青単色デッキ、白中速デッキ対策カード | CH-173 | ボッシュ | ガンダム対策 | U-286 | ガンダムF90
(火星独立ジオン軍仕様) | U-278 | アプサラスⅡ | 緑及び赤の中速デッキ対策 |
特に最後に上げた「アプサラスⅡ」は中速系デッキが好まれている現環境ではかなり効果的なカードとなっています。
緑中速だけではなく、緑を使ったコントロールデッキにも採用率は高いようです。
実際に名古屋大会予選通過デッキには合計で30枚の「アプサラスⅡ」が使われており、かなりの中速メタが進行していると言えるでしょう。
こういった対策カードの幅広さがあるため、今後も緑の牙城はなかなか崩れないと言えそうです。
※コントロールデッキ… | 相手のカードを除去またはロールなどで無効化しながら、自分に有利な状態を作り、相手の反撃を受けない状態から、攻撃を始める受身のデッキ。
相手のカードを上手く無効化する必要があるので、「アプサラスⅡ」や「魂の輝き」のような高性能な除去が求められます。 |
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● 黒 | 現在は中速メタが進んできており、コントロールデッキも予選を抜けています。
そういった中で黒は黒+αの2~3色のデッキでの使用率が高いです。
「ジ・オ(U-129)」、「サイコガンダム(U-135)、「魂の輝き(C-4)」(緑黒デュアルですが)、と言った強力な除去カードと最近は「命令の錯綜(O-44)」のようなビートダウンデッキを遅らせるカードの投入が目立っているところです。
また、青自体の数が減少する中で「黒茶輝き」の使用者も増えてきています。
名古屋大会の結果は他の地区と同じように「緑中速デッキ」の上位進出が目立ちましたが、実はたコントロールデッキも相当数が予選を突破しています。
これは「青単色デッキ」メタの結果、青デッキ自体が減少し、オペレーションが割りづらい環境になったことで、オペレーションに頼ることの多い、コントロールデッキの躍進につながっています。 |
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● 赤 | 金沢大会以降急速に使用者を増やした「赤中速デッキ」。
前線のフォトグラフの強力カードである「ギラ・ドーガ(レズン・シュナイダー機)(U-162)」を中心に据え、パワーアップを果たしていますが、ここにもメタゲームの存在があります。
それは金沢Aブロック2位デッキに3枚搭載された「尊きお言葉(C-12)」です。
これまでこのカードはサイドボードの投入がほとんどで、赤でコントロールしきれないカードへの対策としての使用が主体でしたが、今回の「赤中速デッキ」では「緑中速デッキ」を相手にした時のブリッツクリーク対策(ブリッツクリークのプレイにカットインして敵軍Gにお言葉をプレイしブリッツクリークの効果を2次的に打ち消します)や「シーマ・ガラハウ」のカウンター、「ゲルググM(シーマ・ガラハウ機)」の破壊無効対策とさまざまな状況で相手に被害を与えることの出来る強いカードとなっています。
また、中速ビートダウンが流行っている環境では「血の宿命(C-5)」の存在は相手にとってかなりのプレッシャーとなります。
また、「赤緑カウンターグロムリン」も結果をだしています。
これもオペレーション対策自体が減っているからこそとも言えるでしょう。 |
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● 茶 | 2006年度では「恫喝MF」や「黒茶輝き」で茶はかなりの存在感があった茶でしたが、今回のCS予選ではあまり目立った結果を残していません。
ただし、各予選で「バカンスデート」系のデッキは確実に突破しています。
これは中速系デッキが多い中、中速デッキ対策にサイドボードの多くを割く以上、コンボデッキにまで対策するのが難しいからともいえます。
※コンボデッキ… | カードの組み合わせ(コンボ)が勝ち筋であるデッキタイプ。
そのためコンボにはそれだけで勝ちにつながるパワーが必要となります。 |
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● 白 | 「白中速デッキ」は前線のフォトグラフによる新カード投入の恩恵をいち早く受けることが出来たデッキタイプです。
「ガンダムアストレイ(バックホーム装備)(U-S168)」によるドローと「デストロイガンダム(U-S165)」というフィニッシャーは新たな白中のデッキタイプを生み出しました。
それが札幌大会の「ヴォワチュール型白中」です。
この「ヴォワチュール・リュミエール(C-S87)」の採用も中速系デッキに対するメタゲームの結果といえます。
名古屋では基本的に中速デッキに耐性があることや、デッキの安定性から「緑中速デッキ」につぐ使用率の高さがありました。 |
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■中速からコントロールへ |
CS予選開催から今まで一貫して、緑中速が勝ち組であったといえる結果が出ています。
しかし、そんな中でもコントロールデッキの入賞が増えてきたりと、何が勝ってもおかしくないと言える、かなり混沌とした環境になっています。
残りのCS予選に参加予定の方々はCSレポートをチェックして「メタゲーム」を制覇し、予選突破を目指してください。
最後になりますが、レポートを見る際には、デッキそのものだけでなく、「サイドボード」にも注意してみてください。
そのプレイヤーが何故このカードをサイドボードに採用しているかも考えてみましょう。
そこからが「メタゲーム」の始まりです。 |