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一枚の葉

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发表于 2012-12-7 13:13:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
東山魁夷
  京都を主にした連作を描いたころのことである。円山の夜桜として知られている,あの,しだれ桜の満開の姿と,春の宵の満月が呼応する情景を見たいと思った。
 四月十日ごろだったか,その夜が十五夜であることを確かめて京都へ向かった。昼間,円山公園へ行ってみると幸いに桜は満開であった。春の陽ざしが今宵の月夜を約束するかのように明るかった。夕方までの時間を寂光院や三千院を訪ねて過ごし,頃合いを見て京都の町へ帰ってきた。
 下鴨辺りだったか,ふと車の窓からのぞくと,東の空にぽっかりと円い大きな月が浮かんでいるではないか。私は驚いた。円山の桜を前にして東山から顔を出したばかりの月が見たかったのであって,空高く月が昇ったのでは意味が無くなってしまう。大原で時間を取りすぎたことが悔まれた。
 円山公園へ急いでたどり着くと,私はほっと一息ついた。ここでは山が間近であるため,幸いに月はまだ姿を見せていなかった。紺青に暮れた東山を背景に,この一株しだれ桜は,淡紅色の華麗な粧いを枝いっぱいに付けて,京の春を一身に集め尽くしたかに見える。しかも,地上には一片の落花もなかった。
 山の頂が明るみ,月がわずかにのぞき出て,紫がかった宵空を静かに昇り始めた。花は今,月を見上げる。月も花を見る。この瞬間,ぼんぼりの燈も人々の雑踏も跡形もなく消え去って,ただ,月と花だけの清麗な天地となった。
 これが巡り合わせというものであろうか。花の盛りは短く,月の盛りと出会うのは,なかなか難しいことである。また,月の盛りは,この場合ただ一夜である。もし曇りか雨になれば,見ることができない。その上,私がその場に居合わせなければならない。
 花が永遠に咲き,私たちも永遠に地上に存在しているなら,両者の巡り合いに何の感動も起こらないであろう。花は散ることによって生命の輝きを示すものである。花を美しいと思う心の底には,お互いの生命を慈しみ,地上での短い存在の間に巡り合った喜びが無意識のうちにも感じられているに違いない。それならば,花に限らず名も知らぬ路傍の一本の草でも同じことではないだろうか。
 風景によって心の目が開けた体験を,私は戦争の最中に得た。自己の生命の火が間もなく確実に消えるであろうと自覚せざるをえない状況の中で,初めて自然の風景が,充実した命あるものとして目に映った。強い感動を受けた。それまでの私だったら,見向きもしない平凡な風景ではあったが――。
 また,戦争直後,すべてが貧しい時代に,私自身もどん底に居たのだが,冬枯れの寂寞とした山の上で,自然と自己とのつながり,緊密な充足感に目覚めた。切実で純粋な祈りが心に在った。風景画家として私が出発したのは,このような地点からであった。
 私が好んで描くのは,人跡未踏といった景観ではなく,人間の息吹がどこかに感じられる風景が多い。しかし,私の風景の中に人物が出てくることは,まずないと言ってよい。その理由の一つは,私の描くのは人間の心の象徴としての風景であり,風景自体が人間の心を語っているからである。
 私が常に作品のモティ-フにしたり,随筆に書いているのは,清澄な自然と素朴な人間性に触れての感動が主である。戦後の時代の激しく急な進みの中で,私自身,時代離れのした道を歩んでいると思う時が多かった。しかし,今では,それで良かったと思っているし,また,それをこれからも貫き通したいと念じている。
 人はもっと謙虚に自然を,風景を見つめるべきである。それには,旅に出て大自然に接することも必要であり,異なった風土での人々の生活を興味深く眺めるのも良いが,私たちの住んでいる近くに,例えば,庭の一本の木,一枚の葉でも心をこめて眺めれば,根源的な生の意義を感じ取る場合があると思われる。 私は庭の木を眺めている。いや,枝に付いた一枚の葉を見ている。今は,その葉は美しい緑に,夏の陽を受けて輝いている。私は,その葉が,まだ小さな芽として始めて私の目に触れたころを思い出す。それは,昨年の冬の初めであった。今の葉のある場所に乾いた茶色の葉が付いていたのが,枝を離れて散り落ちていった時である。そこに,まだ小さな固い芽であったおまえが,みずみずしい生命を宿して誕生していた。
 寒い風が吹き,雪の降る日があったが,おまえは黙黙として春を待ち,徐々に充実した力を内に蓄えていく。ある朝,小雨がやむと,点々と真珠の玉が枝に並んで光っているのが見える。それは芽生えの一つ一つに雨水がたまっていたのである。芽の膨らみが進んできたのを感じた。春はもう間近である。
 ようやく春が来る。芽の開く時の喜び。しかし,あの,地上に散っていった葉は,今は朽ち果てて土に還っていく。
 おまえはすくすくと伸びて初夏の陽を明るく透かす若葉となる。生命の充実を感じるとともに,その柔らかい葉が虫におかされやすいのも,この季節である。幸いにおまえは無事に夏を迎え,今,仲間とともに青々と繁り合っている。
 私はおまえの未来をも知っている。夏の盛りになると,葉陰ではアブラゼミが騒がしく鳴き立てるだろう。しかし,台風が過ぎるころになると,ヒグラシやツクツクボウシの,どこか寂しげな歌声に変わる。涼しくなる。蝉の声が聞こえなくなって,今度は根本の方から虫の合唱が,しめやかに秋の夜の興を添える。
 おまえの緑は,なんとなく疲れた色合いになってくる。やがて黄ばみ茶色になって,寒い雨の中にうなだれている。一夜,風が雨戸を鳴らすと,翌朝,おまえの姿は,もう,枝には見られない。ただ,その跡に小さな芽が付いているのを私は見出すだろう。その芽が開くころ,地上に横たわっているおまえは土に還っていくのである。
 これが自然であり,おまえだけではなく,地上に存在するすべての生あるものの宿命である。一枚の葉が落ちることは決して無意味ではなく,その木全体の生に深くかかわっていることが分かる。一枚の葉に誕生と衰滅があってこそ,四季を通じての生々流転が行われる。
 一人の人間の死も,人類全体の生にかかわっている。死はだれしも好ましくないに違いないが,自分に与えられた生を大切にして,同時に人の生をも大切にして,その生の終わりの時,大地へ還っていくことは幸いと思わねばならぬ。それは,私が庭の木の一枚の葉を観察して得た諦観と言うよりは,一枚の葉が生と死の輪廻の要諦を私に向かって静かに語ってくれた言葉なのである。
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发表于 2012-12-7 17:57:18 | 显示全部楼层
これ読んだことあるよ、日本人の自然観とか何とかについて調べてた頃

っていうか、こういう散文的な文章って、日本語で書かれるのがなんかしみじみと共感できるよね、あはれってやつ?中国語で同じ内容書かれたのを読んでも、たぶんこれほど感じれることがない、と。

こういう時微妙な表現の方が印象深いし、機微を上手く表せるかもしれないよね
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 楼主| 发表于 2012-12-7 19:00:17 | 显示全部楼层
日语有他自己独特之处,写起文章来特别细腻。
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发表于 2012-12-7 19:29:24 | 显示全部楼层
本身词汇量少,表主观感受的词汇却很丰富,加之本身语言结构的特点,细微的感觉可以表达得淋漓精致。源氏物语就是个很好的例子,虽然说实话读着读着感觉很无聊,要不是有古文研究需要,再也不会看多一遍就是了……
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 楼主| 发表于 2012-12-7 19:48:37 | 显示全部楼层
rain36 发表于 2012-12-7 19:29
本身词汇量少,表主观感受的词汇却很丰富,加之本身语言结构的特点,细微的感觉可以表达得淋漓精致。源氏物 ...

话说古文你是用啥入门的?貌似现在一些数都说的比较散,或者不全面。

有推荐的不
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发表于 2012-12-7 20:01:15 | 显示全部楼层
基础词汇,文法什么的用的都是日本的教材,上亚马逊看看吧,我是看了评价觉得好才买的,文章的话,网上基本都有。不过说白了,能把源氏古文看懂的话,古文应该就没问题了
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 楼主| 发表于 2012-12-7 20:52:33 | 显示全部楼层
rain36 发表于 2012-12-7 20:01
基础词汇,文法什么的用的都是日本的教材,上亚马逊看看吧,我是看了评价觉得好才买的,文章的话,网上基本 ...

求书名看看
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发表于 2012-12-7 20:59:19 | 显示全部楼层
我用的是望月光和关谷浩的书,你去亚马逊找找看吧,有一整个系列的,看你需要什么,我只是为了应付考试,买了几本
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 楼主| 发表于 2012-12-7 21:15:25 手机用户 | 显示全部楼层
rain36 发表于 2012-12-7 20:59  我用的是望月光和关谷浩的书,你去亚马逊找找看吧,有一整个系列的,看你需要什么,我只是为了应付考试,买 ...

好的,谢谢
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